ピンクぃ脂肪

夢破れて山河あり。
ひとつの夢が破れて、今まで構築してきた私の素晴らしき世界は泥の中に沈み、汚く濁った粘質な液体にまみれて歪み、変色し、確実に私の精神の中で腐臭を放っています。

甘くつるりと輝いて美味しそうだったそれは握りつぶした指と指の間から溶けて垂れてまっ黒いアスファルトの上に堕ちて、走り続けていた私は止まることができずに思いッきり踏んでしまってもう戻ることはないのです。手を見ればべたべた張り付く脂肪分がてかって照り焼き状態。あああァ肘まで垂れててやだなあアァこれが私の体内で蓄積されて余分な肉を形成しいま生きる身を酷く鈍重にするのですなということを考えては不快極まりない。口からぺろぺろ摂取した脂肪分は胸から肩腕腹尻腿を駆け巡って荒らし放題、そのあと目的地である脳ミソの周りにぶよぶよ蓄積されて私の命をミルキィぴんくぃ無意味なものに変えていくのです。
この状態。赤児が口に含むのでもないその乳質な動物性脂肪には何の目的や意義があるんでしょうか?
だから私は脂のついた手でべたべた触られたショーウィンドウを計画的な測定と50グラム単位の数字をもとに磨いていきます透明になりたくて。指紋ひとつ残さないように。もう見えなくなるまで磨き抜きたい。